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The Kinks - Something Else By The Kinks(1967)

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ここまで「英国らしさ」を感じさせるアルバムはそうそう出会えるものではない。1967年にリリースされたザ・キンクスののサムシング・エルス・バイ・ザ・キンクスのことである。

後にジャムがカバーすることになるDavid Watts(ポール・ウェラーも本作をキンクスのベスト作と認めている)、デイブ初のソロDeath of a Clown、ボサノヴァのNo Return、アイリッシュ・トラッド調のHarry Rag、サイケデリックなLazy Old Sun。そして名曲Waterloo Sunset。

特筆すべきは、どのような曲調であってもザ・キンクスならではの、ちょっとひねくれたポップなメロディーが宿っている点である。レイ・ディヴィスのメロディー・メーカーとしての資質にはただただ脱帽である。だってこのアルバムサムシング・エルス・バイ・ザ・キンクス、どこを切り取ってもザ・キンクスなんだもん。

詩についても、優等生に憧れる少年、妻と義理の母との狭間で葛藤する男たちが登場する。イギリスの労働者階級の人々の暮らしを裏側から描いた各曲の詩は、まるで短編小説のようだ。

サムシング・エルス・バイ・ザ・キンクスがリリースされたのは1967年。あのSgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandの年だ。

世界中でフラワー・ムーブメントが巻き起こっていた。「手をつなごう。愛と平和を謳歌しよう」。

なのにレイ・ディヴィスはWaterloo Sunsetの美しいメロディに乗せてこう歌うのだ。

「でも僕には友達はいらない。ウォータールーの夕日を眺めていられれば、僕はパラダイスにいる」

レイ・ディヴィスという人はつくづく孤高の人だなと思う。だからこそ英国人はこの名曲を愛し続けてきたのだと思う。

でも、だからといってザ・キンクスはロック史のなかで孤立した存在ではない。

その卓越したメロディーセンスと鋭い視点を持った詩は80年代にはXTCに、そして90年代にはブラーに、ちゃんと受け継がれている。

本作サムシング・エルス・バイ・ザ・キンクスを聴くとロンドンの曇った空、ちょっと憂いを帯びた街並み、そして何よりゆったりと流れるテムズ川を思い出す。

サムシング・エルス・バイ・ザ・キンクスは時代やムーブメントに流されない永遠の輝きを持つザ・キンクスの最高傑作だと思います。

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