ロック

Television - Marquee Moon(1977)

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UKパンクがいい意味でも悪い意味でも「3コードの呪縛」から逃れられなかったのに対し、NYパンクの代表格であるテレヴィジョンは見事にその呪縛から逃れた。本作マーキー・ムーンは1977にリリースされた彼らのデビューアルバムである。

本作マーキー・ムーンには、いわゆる「ロックの古典的なイディオム」がほとんど登場しない。従来のロックをいったん解体し、再構築する作業。これが本作の、そしてテレヴィジョンの根本にあるイデオロギーだと思う。

ボーカル、ギターのトム・ヴァーレインとリチャード・ロイドのギター。この2本の絡みも、特にどちらがリズムでどちらがリードという決まりはない。

歌詞においても何か特別な主張がストレートに綴られているのではなく、記号としての抽象的な言葉が羅列されている印象を受ける。そのせいか、トム・ヴァーレインの書く詩に高い文学性を見出す者もいる。

そうした「ロックの再構築」の象徴が、タイトルチューンのMarquee Moonだ。10分を越えるこのナンバーのなかで一切緊張感を喪失せずに上りつめていく様は圧巻であり、官能的とも表現できる。

だだ、テレヴィジョンが「ロックの解体と再構築」から唯一逃れることができなかった存在がある。The Velvet Undergroundがそれである。

本作マーキー・ムーンでのトム・ヴァーレインのひしゃげたようなボーカルはルー・リードの存在を抜きには語れないものだ。そしてヴェルベッツが実践したのも「ロックの解体と再構築」に他ならないからだ。

本作マーキー・ムーンを含め、オリジナルメンバーではたった2枚のアルバムしか残さなかったバンドではあるが、テレヴィジョンは現代ロックの意味をあらためて問い直すという重要な役割を果たした。

従来のロックはあまりにも形式にこだわりすぎ、根本の衝動や精神を置き去りにしてきた。

ルー・リードが実践したとおり、テレヴィジョンはロックとは官能の表現でありギターや歌の技術とは全く無関係であることを証明してみせた。

今でもこのアルバムを聴くと心のどこかに違和感を感じる。だが、その違和感は決して苦痛ではなく、心地よい違和感だ。

60年代のサイケデリック・カルチャーを確信的に狂信し、70年代のNYという場で再発火させたマーキー・ムーンは時を超えた傑作であると思う。

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