ロック

Sly & The Family Stone - There's a Riot Goin' On(1971)

更新日:

暴動(原題:There's a Riot Goin' On)はスライ・アンド・ザ・ファミリーストーンの5作目のオリジナル・アルバム。彼らの最高傑作であると同時に最大の問題作である。

当時、スライは多忙を極めると同時にドラッグ中毒、自身のアイデンティティと世間との隔絶などに苦しんでいた。そういった状況のなかで暴動はリリースされた。

本作はとにかく重く沈みこむような暗く、ヘヴィなファンクアルバムである。リズム・ボックスを用い、ほとんどの楽器をスライ自身がプレイした。

歌詞もスライ自身の独白、社会批判、家庭崩壊など、辛辣なテーマを扱ったものが多い。

ジャンルこそ違うけれど、ジョン・レノンの「ジョンの魂」に通じるものがある。

身も蓋もない言い方をすれば、本作暴動は「夢も希望もないアルバム」である。では何故そんなアルバムがSly & The Family Stoneの最高傑作と称されるのか。

それは、アルバム全体を貫く絶望感と悲哀が1971年という時代背景にマッチしていたからだと思う。このアルバムがリリースされた1971年、ベトナム戦争が終結、フラワー・ムーブメントの終焉、キング牧師の暗殺などによる公民権運動の迷走、黒人社会の行き詰まりなど、さまざまな要素がスライを苦しめていた。

それはスライ自身だけの問題ではなく、黒人社会全体の抱える問題だった。黒人の多くが、想像を絶する憂鬱感を、虚無感を感じていたのだと思う。

スライはそれをアルバム暴動に託した。よく「時代とシンクロした傑作」という表現をするが、暴動は「悲劇的なまでに時代とシンクロしてしまった傑作」と言えると思う。

また、サウンドも素晴らしい。リズム・ボックスだけで、よくここまでグルーヴ感を醸成できたものだと思う。

やはりスライ・ストーンという人は天才なのだと思う。

このアルバム暴動にはアナログ盤だとA面の最後にタイトル曲が収録されているが、その曲は0:00秒である。無音にすることで「暴動など起きてほしくない」というメッセージをスライは託した(CDでは0:00は技術的に不可能なので4秒のブランクとなっている)。

絶望感と喪失感のなかで苦しみながらも、それでもこのような手法で黒人たちにメッセージを送るスライ。

無音ではあるが、感動的な「曲」であると思う。







-ロック
-, , , , , , ,

Copyright© 試行錯誤するロック , 2018 All Rights Reserved Powered by AFFINGER4.