ロック

Janis Joplin - Pearl(1971)

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「悲劇の女性シンガー」と言われて、ジャニス・ジョップリンを思い浮かべる人は多いと思う。

彼女は1970年10月、ヘロインの大量摂取により帰らぬ人となった。かたわらには、4ドル50セントと未開封のマルボロがひと箱残されていたという。結果的に本作パールはジャニスの遺作となってしまった。

ジャニス自身「理想のバンド」と公言していたフル・ティルト・ブーギー・バンドを従えた本作パールの1曲目Move Overで、彼女はこう歌っている。

「だから私のありったけの愛を受け止めてほしいの。それを聞き入れないのなら、放っておいてよ。一人でやっていくわ」

バックバンドの相次ぐメンバーチェンジ、名声を勝ち得たことによるプレッシャーなど、ジャニスの他者へ対する絶望感は、正直自分でも想像できないくらい深いものであったろうと思う。

本作パール収録のMe And Bobby McGeeはジャニスにしては珍しくフォーク・タッチの軽い曲だが、本当はこういう曲をのんびりと歌う生活を彼女は望んでいたのかもしれない。そう考えると、この明るい曲すらも、暗い影を帯びて聴こえてくる。

それでもラストのGet It While You Canで、ジャニスは「力強く足を前に出せ。そうすれば人生なんて変わってしまうのだ」と歌う。

これは誰かのために歌うのではなく、誰よりも自分に歌っている。少なくとも自分にはそう思える。

ジャニスを語るとき、どうしても彼女の劇的な生き様にフォーカスしてしまう傾向があるが、1枚のロックアルバムとして本作パールをみると、ゴスペル色の強い素晴らしい作品であることが分かる。Cry BabyやMy Babyにおける彼女の歌唱がそうである。

特に、自分が本作パールで一番凄いと思うのはMercedes Benzだ。アカペラでここまで胸に迫る曲は今まで聴いたことがない。

ジャニス・ジョップリンを超える、あるいは同列に並ぶ女性シンガーには出会ったことがない。たぶん、もうそんな存在は現れないだろうと思う。

最高のバンドをつくり、これからだという時期に急死したジャニスは、その短い活動期間に数多くの名作を残した。今でもその声は新しい。







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