前作Performance Rockin' The Fillmoreを最後にギタリストのピーター・フランプトンが音楽性の違いから脱退してまったハンブル・パイ。後任のギタリストとして、デイヴ・クレムソンが新加入して制作されたのが本作スモーキンである。本作は1972年にリリースされた。
全体的にボーカリストのスティーブ・マリオットのブルース志向が色濃く出たアルバムである。
まず、オープニングのHot 'n' Nasty。グルーヴィーなハモンド・オルガンが最高。スティーブのボーカルの熱唱が聴きもの。
続くThe Fixerはヘヴィなリフが印象的な重心の重いブルースナンバー。デイヴ・クレムソンのワウを聴かせたギターソロがいい仕事をしてる。
You're So Good for Meはいかにも英国風のバラードナンバー。アコースティックギターからはじまり、後半のコーラスを交えた盛り上がりが感動的な1曲。
C'mon Everybodyはエディ・コクランのカバーなんだけど、ここまでヘヴィーなC'mon Everybodyは聴いたことがない。まさにハンブル・パイにしかできない重くグルーヴィーなカバーに仕上がっている。
Old Time Feelin'はピアノをバックにアコースティックギターを使ったブルースナンバー。こういうナンバーが入っているのも本作スモーキンの魅力であると思う。
30 Days in the Holeは、シングルカットされたヒットナンバー。本作スモーキンの中で最もポップな一曲。ベースがよく歌っている。
Road Runner/Road Runner's 'G' Jamはこれまたカバー。ハンブル・パイらしく重たいリズムでカバーしている。スティーブのボーカルはまるで黒人のそれのようだ。
続いてI Wonder。本作スモーキンの最大のハイライトはこの曲ではないかと思う。9分近いブルース・ナンバーだが、一切ダレることなくエンディングまでなだれ込む。スティーブのボーカル・ブルースハープ、デイヴ・クレムソンのギター、どこを切り取っても最高なナンバーだ。
ラストを飾るのはSweet Peace and Time。変拍子のトゲトゲしいドラム。インプロヴィゼーションの効いたギター。ちょっとツェッペリンを感じさせるナンバーだ。
と、思わず全曲解説してしまいました。いずれにしてもデイヴ・クレムソン加入はハンブル・パイにとって大正解だったことが分かるアルバムです。
本作スモーキンは今聴いても古さを感じない70年代ハードロック屈指の名盤だと思います。