ロック

The Libertines - Up the Bracket(2003)

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2000年初頭のロックロール・リバイバルの中で、アメリカからはストロークス、ホワイト・ストライプス、北欧からはハイヴスが台頭してきたが、イギリスからはバンドが出てこなかった。そこに登場したのがザ・リバティーンズだった。本作アップ・ザ・ブラケット(邦題:リバティーンズ宣言)がリリースされたのが2003年。彼らのデビュー・アルバムである。

UKロック・シーンはザ・リバティーンズを熱狂的に迎え入れた。何しろロックンロールバンド不在だったのだ。その興奮は想像できる。

さて、本作アップ・ザ・ブラケットは極めて荒削りなR&Rアルバムである。調べたら、元クラッシュのミック・ジョーンズがプロデュースしてるんだね。納得。

カール・バラーとピーター・ドハーティという稀代のコンビがともに培ってきたのはミュージック・ホールから、フォーク、ジャズ、グラム、パンク、スカ、ギター・ポップ、ブリット・ポップまで多様な要素を土台に育んだものだ。

そこに英国的ロマンチシズムと感傷的で情緒豊かなメロディをちりばめ、荒削りなガレージ・サウンドに乗せて駆け抜ける本作アップ・ザ・ブラケットは、危険と退廃と隣り合わせに生きるロンドンの若者の日常と心情を詩的に描いた歌詞と併せ、唯一無比の魅力を放っている。

演奏も歌も時々ヨレているし、メンバーの技術量もそれほどではないザ・リバティーンズだが、そんなことはどうでもいい。ロックに必要なのは初期衝動とそれと同じくらい必要な熱情なのだから。

本作アップ・ザ・ブラケットは発売当初はそれほどセールスが伸びなかった。しかし、ザ・リバティーンズに触発されてバンドを始める者は数知れず、英国でのギター売上増進にも貢献した。

本作アップ・ザ・ブラケットの発表以来、ザ・リバティーンズの出る前と出た後でUKのロック・シーンの地図は完全に塗り替えられてしまったと言ってもいい。

70年代にセックス・ピストルズやザ・クラッシュがそうしたように、ザ・リバティーンズもシーンを変えてしまったのだ。この功績は大きいと思う。

本作アップ・ザ・ブラケットは、確かにアメリカ勢に比べると演奏能力には劣る。けれど、それを補う熱情と勢いがある。

2000年代のロックンロール・リバイバルで多くのバンドが出てきたけれど、自分はアップ・ザ・ブラケットが最もロックンロールなアルバムだと思っている。







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