ロック

The Smiths - The Queen Is Dead(1986)

更新日:

ラフ・トレードから83年にデビューしたザ・スミス。UKポスト・パンク傘下のムーブメントからは一線を画した唯一無二の世界を確立したバンドである。

ザ・スミスはもっぱら「シングル・バンド」として評価され、曲単位ではその賞賛を欲しいままにしてきたのだが、アルバムとして初めて大きな評価を得るには本作クイーン・イズ・デッドまで待たなければならなかった。クイーン・イズ・デッドは1986年にリリースされたザ・スミスのサード・アルバムである。

本作クイーン・イズ・デッドは若き日のアラン・ドロンをジャケットに掲げた80年代英国のみならず、全ロック史上においても異彩を放ち続けるマスターピースである。

当時のモリッシーとジョニー・マーはその創作意欲のピークに達しており、ギターと声で鳴らすそれぞれに特異なふたつのメロディーを組み合わせたり、あるいはカウンター関係に置いたりして、まるで別の話をしているようでありながらも完全無欠なハーモニーを構築している。

本作クイーン・イズ・デッドは何ら外的トリックを使うことなく、大きく異なるアプローチを使うことで10のギター・ポップを奏でている。例えば「ロカビリーっぽい」と端的にスタイルを言い表せるVicar in a Tutuのようなケースは稀で、多くの場合本作クイーン・イズ・デッドの音楽的ルーツは解析不能だ。

曲ごとのキャラがあまりにも強いので、本作クイーン・イズ・デッドがアルバムとして成立しているのが不思議ではあるのだが、第一次大戦中に歌われた英国への郷愁を込めた曲のサンプリングが飾るオープニングから、奇妙なコーラスで中途半端にフェード・アウトしていくまでの37分間を一気に聴けてしまうのは、本作クイーン・イズ・デッドには他のアルバムにはない、次々と曲を呼び込むかのようなテンションとドライブ感に貫かれているからだろうと思う。

そしてジョニー・マーはその多彩な表現を駆使して曲ごとに緻密なギターアンサンブルを組み立て、モリッシーはThe Queen Is Deadで王室や教会といった権威的存在への抵抗を、Bigmouth Strikes Againでは口を開けば言い争いを繰り返していた自分にも目を向け、Cemetry Gatesではオスカーワイルドへの尊敬を高らかに宣言している。

孤高のポップ・アイコンが自身のポートレイトを自嘲と誇りを交ぜて描写し、自分と同類のアウトサイダーを祝福する。本作クイーン・イズ・デッドは人生の全シチュエーションに対応する一生もののアンセム集だと思う。







-ロック
-, , , , , ,

Copyright© 試行錯誤するロック , 2018 All Rights Reserved Powered by AFFINGER4.